世界でいちばんダサいMMD制作ログ3 - 集団モーション

■1:01 トレイン・こっち来んな・回んな

ただのシンクロではなく、まともに10人が移動・交錯する最初の山場。
細かいモーションの前にまずはカメラ設定・モデル配置・移動確認の作業をして何フレームから何フレームでどこからどこまでを移動させるか検討する作業から。集団モーションを扱うにはこれを怠ると死ぬ。

・ミクとリン


パターンでステップと体を揺らしているだけ。基本はコピーだけれど、腕の形や振り幅・手の形・頭や上体の向きは変えてある。ミクの髪・スカート・ネクタイ等は基本的に「ほとんど動かないように」調整してある。ただここは腕が当たって髪がちょっと揺れるようにしているけど、姿勢の関係でそうしないと不自然だったので。
こうした大勢が動く画面では個々の小さなモーションの重要度は相対的に落ちるし、また髪を激しく動かすと周りのモデルと干渉することになる。多人数を扱うならモーションの労力を削っていかないとキツくなるし。パターンの繰り返しでなかったら揺らさないで無視していたと思う。

リップシンクについては、実はこの曲顔がアップになるシーン(リンはこの後にもう一箇所ある)のすべてでメロディーが全部まかなえる構造になっている。だからそこでつけたリップをタイミングを合わせて転用しているだけ。さすがにこんな小さなシーンでは元映像の口元もわからないけど、多少違っていても気にならない。なんとなく雰囲気で合ってる感じが出ればオーケー。

・トレイン


ここは足元が見えないので足IKを切っている。これだけで格段に楽に。横方向の移動は等速でやっているので、体の前後の振りを大きくしてリズム感を出した。回転に曲線補間を使ってタメも出してる。元映像に比べるとキレがよすぎるけど。あとはセンターの上下も多少入れているかな。目立つわけではないが胸ボーンも動かして、自然に息づくような動作を出している。この後にカメラにバストアップの位置になるので。ただ、ここの腰の前後の動きは人間の動きを超越してる。腰痛めるね。キレとセクシーさを出したかったからそうした。
左腕が常にまっすぐ前に出る状態になっていれば、あとは動作コピーしてセンター位置バイアスでズラしてつなげる。髪の毛が足に埋まりまくるので奥側に投げるような処理もした。目線はだいたい中央でカメラに合うように設定。
それと、この前を通るときはミク達より「段を下りた低いところ」を通っている設定。また本来は奥に少し巻いていくのだけど、向きを変える処理が難しいのでまっすぐ移動している。

・うしろを通ってこっちくんな


ミク達の奥で左右から来て交互に間に入りながら正面に向かってくる。ここはちょっともう本当にめんどくさかった。真横方向に移動しているときは肩にあてた手はズレナイのだけど、向きを変え離れて移動していくのをどのタイミングで処理していくか×8を処理するのは地獄だった。一人づつ地道に動かして設定。

実は間を通ってカメラの前を通過するまでの距離は不可思議な設定になっていて、移動速度がかなり遅かったり。固定されたカメラではわからないように処理しているだけ。
だから最初の数人はちゃんとあいだに入っているが、最後の方は重なりあってメチャクチャだったりする。前のキャラやミクリンで隠れてわからないようになっているけど。頭から一人ずつカメラアウトするまで作っていって、後ろに隠れている部分はどうとでもなるように処理していくのが肝心。ただし右側の先頭が左側の先頭の後ろに入って肩に手を置きに行くところで顔と目線を体に先行させるとか細かい技は使ってる。
斜め上視点で見ると瞬間移動したり埋まったりつきぬけたりかなり笑える。カメラに写ってない範囲はフリーダム。

またここでハクの足元が移動と合っていなく滑っているのであまり映さないようにしている。その影響でミクとリンの足元はこのカットの最初の段階で映っているはずが映らない仕様になっている。

・回んな


オフにしている足IKを中心軸に90°づつ回して回転させている。支点にしている足IKの真上に手が来るようにして。ここの回転速度はだいたい100フレームで一回転。計算は簡単。
一回転するポイントを目測で計算して横ズレをともなわせながら回転。横ズレは実験してみれば普通にできる。一人ずつカメラフレームに入るように位置調整はしてあるけど。
他にはセンターを中心に回転させる場合は120°づつ3点を押さえて回転させればいいけど、回転軸を体から離してIKを移動させながらズラすときには90°の方がいい。IK自動補間と合う。まあ、ダミーボーンつきモデルを使えばここらへんは解決するのだけれど。

つないでいる手の部分はあやしい動きをしているのだけど、4人を配置したら袖に隠れてまったく見えなくなっているので助かった。そして足元が見えないカットでよかった。ここで全身が画面に入っていたらモーションで死んでいた。

・ハクの表情

前半のトレインは全員満面の笑顔がよかったが、こっち来んなからは表情が同じだと単調だった。よって個性づけをしてモーションも微妙に変えてある。8通り決めるのはなかなかアレだったが。

  • 全員の顔が同時に画面内に映っているときは同じ顔をさせる
  • 一人や二人づつ画面に入ってくるときはそれぞれ区別をつける

こういう基準で個性を出したり消したりするのが一番おもしろそうだった。試行錯誤した結果。この後もそうしている。