世界でいちばんダサいMMD制作ログ7 -感染ダンス2

■2:49 感染ダンス〜そぉい(ハク)


・腕IK化モデルの特徴と扱い方

ここのハクのモーションは自分的に技術的な課題があって、その解決が一番悩ましかった。
途中で手をつないで踊る部分があるので当然「腕IK化モデル」を使うのだが、腕IKの挙動には特有のクセがある。

今配布されている腕IK化モデルは、「ワールド固定座標IK」「腕ボーン付属IK」の2種類があり、座標が固定されているというのは、足IKと同じようにセンターボーンを動かしても腕IKの座標がかわらないといったもの。腕ボーン付属バージョンは体の動きに付帯して移動する。

腕ボーン付属型はイマイチ使い込んでいないのであまり要領がわからないが、ワールド固定型は姿勢が変化しても手の位置が変わらないので、手をつなぐなどの場面で威力を発揮する。
しかし反面、体ごとターンをしたり肩口から大きく手を振り回す、といった動作の際に体と手先を合わせてキレイに回転させるのが難しい。動きがフラついてしまう。
「円弧軌道」と「直線軌道」の両立というのは難しい。これは従来のIKなしでは直線軌道を通らせるのが難しかったのとちょうど対になっていて、使い分けが必要になるということ。

ただ、IKのオンオフを切り換えるとそこで形が変わってしまい、挙動がおかしくなる。
よって「場面転換時」「画面外やオブジェクトに隠れて見えないタイミング」などが使い分けのポイントか、と思っていた。

しかしこのシーンでは「前半のターン」「手をつないで回る」「そぉい!で腕を振り回す」という3つのパターンがあり、場面転換はない。IKのオンオフをシームレスにつなぐことができないかと検討することに。

・IKオンオフの切り替えポイントの作成

結局はIKがオンでもオフでも形が変わらないポイントを作ってつなげばいいというだけなのだけれど、ぶっちゃけかなりめんどいです。

  1. 切り換えポイントになるフレームの腕の形を「IKオン」の状態で決める
  2. オン状態での腕の各ボーン(肩・腕・ひじ・手首)の位置を記録
  3. オフにした上で各ボーンを調整し、IKオンのときと寸分変わらない形にする

「寸分変わらない形にする」ために、いちいちモニタに付箋貼って印をつけて、側面と上面の2方向からちまちまとプロット。実際はこれでも微妙なズレは生じているのだろうけど、見てもわからないレベルにはなった。
これでオンからオフ、オフからオン両方いける。IKオンの状態で形を決めるのは、オフの状態で形を決めてIKオンで形を作るのは無理なので。

この切り換えポイントの作り方はまだよくわからない部分も多いので今後も研究したいけれど、めんどくささをいとわなければ一つのダンスの中で手の動きパターンをより複雑に扱っていくことも可能だと思う。

・実際に切り換えているポイント

右側左側は見ている側からのもの。


両側のキャラ。最初はオフの状態でスタートし、クルクル回るのをやめて中央に向かって歩き始めるところで両腕をオン。


左側のキャラ。手をつないで中に入ったあとつないだ右手を離してターンを始め、手が体の奥でブラインドにされるところで右腕のIKをオフ。


右側のキャラ。離した左手をユラユラと体の近くにもっていき、この後からだを正面に向けるように動きはじめ、腕の形も変わるところで左腕のIKをオフ。


両側のキャラ。つないでいた手を離し、下におろした腕にタメを作ってこのあと「そぉい!」に入るところで左側は左腕、右側は右腕のIKをオフ。


最初は無理かと思ったけど、やってみればできるもんだった。